【Part4 酸素摂取】 酸素博士岩垣コラム
生体内での酸素の役割はH.Wielandにより、生体内で産生された水素イオン(H⁺)を除去するための働きで2H⁺+1/2O₂=H₂Oとなることが明らかにされ、酸素は生命エネルギー(ATP)産生することが示されています。現在でも国際的に1METS=3.5mlO₂/kg/分として利用されます。しかし、これは体重1kgあたり毎分3.5mlの酸素を使用していることを示したものです。運動を負荷すると酸素摂取量は比例して増加し、400W時点で運動負荷が重すぎて間に合わなくなり、酸素摂取量は低下してしまいます。
このような比例関係が成立してることにより、単位運動あたり(W)の酸素摂取量は一定となり、絶対酸素摂取量(mlO₂/kg/min/W)となるのです。しかし、200~300Wの運動では比較的一定(0.175ml/kg/min/W)なのですが、200W以下の運動では指数関数的に増加します。これは、軽い運動をしているのですが、運動以外に利用されるための酸素が摂取されている為です。運動強度が低くなればなるほど、酸素摂取量が高まるのです。
酸素摂取量には運動エネルギー生成のために摂取される酸素と、運動エネルギー以外に利用される酸素が存在しているのです。
これを更に確立する軽い運動後の血液色を比較した実験が行われています。
静脈血は常に暗紫色で、動脈血は鮮紅色ですが、運動後の静脈血は鮮紅色になります。したがって、全身に濃度が高い酸素が巡り、酸素供給が高められているのです。静脈血の鮮紅化は余分な酸素の摂取を意味し、酸素摂取はエネルギー産生に必要な酸素だけが摂取されているのではなく、特に軽い運動では余分な酸素摂取が起きていることを意味しています。